4月。会社の辞令により勤務地が立川より新橋にうつった。
あふれんばかりのTOKYO。
目に映るすべてがTOKYO。

有象無象の人の波は止まることを許してくれない。
今もまた1人、ご飯をどこで食べていいかも分からず、コンビニのおにぎりを立ちながら頬張るFRESHな女の子を目撃した。
希望・孤独・奮闘・挫折……
その他諸々が織りなすTOKYOだが、なかでも1番しんどいのは……通勤電車だ。
朝の小田急線は内臓がスクランブルエッグにされる、1日でもっとも過酷な行事。
そんなぎゅうぎゅう詰めの箱庭では常軌を逸した人間と出会うこともしばしば。
前置きが長くなってっしまったが、
そんな逸材を紹介したいので聞いてほしい。
前述の通り、朝の小田急はヤバい。
吊り革を掴む手は下ろすことができず、停車駅で1度降りてしまうとなぜか再乗車できなくなることもザラにある。
そんなペシャンコになりそうな環境の中で彼女と出会った。
彼女はおっさんの胸と私の腕に挟まれ、顔がムギュッとなっていた。
さらにおっさんは彼女の髪の毛の匂いを頻繁にわざとらしく嗅いでいる。
(こうはなりたくねーな)と思っていると彼女は定期的にビクッとなったりする。
(えっ、もしかしてこの子セクハラされてる?)
注意深く彼女のミチミチに挟まれた顔を観察すると……
なんと彼女はこの極限の状況の中……
熟睡していた。
嘘だろ……
これが……とうきよー……?
人間の最大の進化はストレスへの耐性だと聞く。人以外の動物が人間なみのストレスを感じ続ければ即DEADらしい。
しかし彼女は、
私が文句をタラタラ垂らすこの環境を寝室へと昇華したのだ。
人間よりさらに進化した人間……
これがTOKYO GIRL。
強すぎる。
匂いを嗅がれて可哀想とか。
考えていた自分が恥ずかしい。
そんなことではTOKYOでは生き残れないのだ。
私も自分をアップデートしなくては、仕事はおろか、生粋の江戸っ子を名乗ることもできない。
弱気は捨てろ!!
さぁ、この満員電車。
俺はどうやって乗り越える?
IMAGINE
目をつぶって……
イヤフォンから音楽を聴こう。
ほらこの圧迫感、熱気……
思い出すだろ?
野外フェスのあの高揚をさっ!!!
キャッフーーーーー❤️
とことん盛り上がろぉぉおおぜぇ!!

こうして私は都会に染まっていくのだった。
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