右目2.0
左目0.1
これが今の鴨川の視力だ。
なぜ、こんなにガチャガチャかという……
右目さんが白内障になられたから。
医者いわく。
「気になったら手術すれば良いよ」とのことで、5年以上放置していたら……
2.0→1.5→1.0→0.8→0.5→0.1 と悪化。
そんなこんなでさすがに運転に支障をきたしそうなので手術することにしたんですが……
眼科にとんでもないじーさんが現れた。
それは、視力検査の時だった。
検査室には2人同時に検査できるよう、椅子が2脚、視力を調べるための「C」を映し出すスクリーンも2基あった。
私は奥の椅子で、視力2.0(神の左)をふるっていた。
「上、下、右、左、……あぁ右、あーー下、あーー上?」
終盤は苦戦するも全問正解。
検査するお兄さんも驚いていた。
「だてに親のスネかじってねーぜ」と溢れんばかりのドヤ顔を披露したときだった。
「右ッ!!」
いつ入ってきたかも気づかなかったヨボヨボのじーさんが、ものすごい声で視力検査をスタートさせた。
見た目こそヨボヨボだが声のそれは剣道の「メンッ!!」。
周囲の人間はイッポーーン!!って感じだった。
じーさんのスクリーンには恐らく1番大きな「C」が表示されていて、じーさんは「C」が出てくるたたびに驚異的な反射スピードで
「下ッ!! 上ッ!! 上ッ!!」
と回答していった。
……このじーさん
何が凄いって……
その声量も確かだが……
答えが全て違う。
なのに……その自信はいずこから?
俺が見間違えてるだけなの……?
コレが白内障なの?
いやいや、んなことはない。
確かにじーさんは間違えている。
……しかし、その確固たる自信に……
巻き込まれてしまう……正常が
これが超一流というやつか……
きっとこのじーさん……
いや、G様は……
元カリスマ経営者に違いない。
数々の商談を切り抜け、日本の発展に尽力してきた無類の漢。
よく見てみれば、曲がった腰は数々のプレッシャーを跳ね返してきた凄みがあるし、申し訳程度に生えている髪の毛も不屈の精神を感じさせる……。
俺は今……凄い人の横にいる。
一事が万事というが、ただ1つの振る舞いで、そのG様の本質を見抜いた自分が嬉しくて……稲妻のような全能感が体を駆け巡る。
その稲妻はすぐに学びへと変わる。
ことを為すには……
このぐらいの圧倒的な自信を持たなくてはいけないのだと。
サンキューG様。
私は心の中で「ご指導ありがとうございます」と感謝の意を伝えた。
「上ッ!!」
横では今もなお止まらないG様の勢い。
「あっ、もう検査終わりましたよ」
「…………」
真っ白なスクリーンを前に、検査用のメガネを外され、無言で座り続けるG様。
そこにシビれるあこがれるゥ!!
はい、というわけで3月17日手術します。
さらんへよ〜
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